三菱地所の内定を勝ち取れ!俺はだめだったけど、幸運の掴み方を1つ学んだ

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これは、三菱地所に受かりたくてめちゃくちゃ努力してダメだった話です。
僕が感じたこと、学んだことを書いています。

この経験が僕の生き方のベースになっているし、

次は、幸運をしっかりと掴み取りたい。

 

 

とりあえず、上を目指す。

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僕は典型的なミーハーな就活生だったと思う。
かといって、この考え方が悪いとも思っていなかった。
向上心があるからこそ上を目指そうとするし、ハードルが高い分、成し遂げた時に大きな喜びを得る事が出来る。
そして、挑戦自体が自分の人生を輝かす肥やしだと思っていた。

「自分が行きたいなと思う企業の中で、出来るだけ上の方を目指す。」
この方針に則り、まず人気企業を2chの就職偏差値で調べた。
「やっぱトップ5に入るのはすげーんだろうなー。でも別にそれらの企業にやりたい事があるわけでもないしなぁ」

悶々としながら自分のやりたい事と社会的ステータスの折り合いを考える日々だった。

「ってか、自分って何がやりたいんだろう?」
おそらく、これは多くの就活生が一番悩むトピックだ。
会社の仕事をした経験がないと働く実感が全く湧かない。

なのに、自分のやりたい事が分かるわけがない。

そこで、僕は感性でやりたい事を決めることにした。
なんとなく話を聞いて面白そう!って思った仕事を見つけよう。
まずはロジカルに考えずに、違ったらまた別企業を探せばいいだけだ。

結果、僕はサービスやモノを企画し、人々の感情を動かす仕事。
特にものづくりに興味を持っている事がわかった。
これだ!と思い、説得力のある志望動機を作ろうとした。

あれ、違った

一つの問題にぶち当たった。
志望動機のマニュアルに従った結果、一つの完璧な志望動機が出来た。

「すげーなこの志望動機。負ける気がしないわ。」
出来上がった時はその高揚感から根拠のない自信が生まれる程だった。

ただ、それはメーカーにはあまりマッチしない志望動機だった。
簡潔にいうと、高校時代にシリコンバレーというアメリカの産業集積地帯に住んでいた経験から日本でも産業集積地帯作りに携わりたいという内容。
愚直に自分の過去を言語化してできた志望動機は「感性で自分がやりたいと感じた」メーカーにはマッチしなかったのである。
もちろん、それなりの完成度でメーカーに特化する志望動機も作れはした。
しかし、産業集積地帯に関する志望動機ほどの完成度ではなかった。

第一志望は超難関企業の三菱地所

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色々調べた所、僕の中では、産業集積地帯に関する志望動機は三菱地所にしか通用しない志望動機という結論がでた。
その三菱地所でも産業集積地帯作りは少人数で進めていて、新卒が介入できる余地は乏しそうだった。
仮に自分が入社したとても、産業集積地帯作りに携われる可能性は極端に低い。
更にデベロッパー業界自体に僕はあまり興味がなかった。

しかし、三菱地所は毎年の採用人数が20〜30人の少なさで、プロサッカー選手になるより難しいとも言われている難関企業。
年収は良いし学生の間でもステータスは申し分なかった。

ここでミーハーな僕が顔を覗かせる。
感性的にやりたいと感じるメーカーの方が、自分がワクワクしながら働ける可能性が高い。
しかし、給料・ステータスといった面では三菱地所に劣るし承認欲求の満たし具合は微妙だ。

正直かなり迷った。

どっちに本腰を入れて就職活動を行うか。
「ってかこんなとこ俺受かんの?」とも思った。

ただ、僕はこの三菱地所にとてつもない縁を感じていた。
中学2年生で渡米し、言語の壁にぶつかりながら頑張った経験に加え、大学でもシリコンバレーについて研究していた経験を基に作った志望動機が三菱地所にしか通用せず、かつ他人が真似出来ないとても強い内容だった。
「あの経験も、今勉強している事も全てはこのためだったのでは」そんな考えが頭がいっぱいだった。
もしここに受かれば、俺も天才と呼ばれるのかな。
社会に出たら皆からの羨望の眼差しで見られるんだろうな。
そんな事を考えていると、三菱地所への思いがどんどん強くなっていく。


結果、僕は三菱地所に本腰を入れる事を決意した。
この決断おかげで、自分の人生で初めて「あ、これは運命だ」と思う経験をすることになった。

もう三菱地所しか狙わない。磨きがかかるES

就職活動が解禁された12月、僕は大学のキャリアセンターに足を運んだ。
目当ては、OB名簿だ。
パソコンの検索に「三菱地所」とタイプした。
「えっ!少ねー!!!」
登録されているOBは2000年以降に卒業した人達のみで、各年度に一人しか登録されてなかった。

「うそっしょ.....毎年一人って」

そう、僕の大学は三菱地所に受かる最低レベルで毎年1〜2人しか内定を勝ち取ることができなかった。
「一人でもチャンスがあることに感謝だな」
約13名のOBの電話番号と名前をノートに書き写し、片っ端からOB訪問する事にした。
そして、若手社員を中心に片っ端からOB訪問をし始めて5人目にもなると、そろそろ中堅ランクの社員にも思いっきり自分の考えをぶつけたいと思うようになった。

そうして出会った中堅社員のMさんに僕は魅了された。

Mさん「OB訪問してくる子なんて久しぶりだよ」

僕「そうなんですか?」

Mさん「うん。新卒とか3年目の人にはよく来るらしいけど、8年目ともなると皆怖じ気づくのか、電話かかってこないんだ。」

Mさんはとってもかっこよくて、話が面白くて、気さくで、知性が溢れでてた。

正直、合同説明会や他企業のOB訪問をしていると、俺の仕事ってこんなにすごいんだぞって主張する人が多いと感じていた。

そんな中、Mさんは違った。

Mさんは、仕事の話を「どうここ面白いでしょ?」というように、自分の凄さを見せつけようとするのではなく、ピュアに仕事の面白さを学生でも分かるように比喩を駆使して説明してくれる。

さらに、会話の合間に入れてくれるジョークが抜群に面白い。
完全に自分の理想像だった。
Mさんとの初めてのOB訪問が終わった時、僕の気分は凄く高揚していて、気付いたら電車がくるまでの間、ホームの端から端まで全力疾走したい気持ちに駆られていた。

あんな人になりたい・・・!あの人と一緒に働きたい・・・!

家に帰って早速お礼メールを書いたが、どうしてももっと話を聞くのを我慢出来なくて次の日に「またOB訪問していいですか?」と電話していた。
そこから、僕とMさんの特訓は始まった。
結果的に、Mさんには5度もESをメールで見て頂き、3回もOB訪問させてもらった。

毎日良い準備をするだけ

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僕は本田圭祐が好きだが、彼のこの言葉が大好きだ。
「毎日いい準備をするだけ。」
いつも彼はぶっきらぼうにインタビュアーにそう返答する。
就職活動中何度もこの言葉が頭をよぎった。

いい準備をする。
毎日いい準備をするだけ。
何をしたらもっと良い準備ができるか?
何がまだ足りないだろうか?
ってことを考え続けた。

人間面白いもので、考え続けると何かしらの答えを導きだすことができる。
当時の三菱地所は、丸の内のエリアを国際的金融街にすることを目指していた。
金融業界はあまり受けるつもりがなかったが、メガバンク、外資銀行の人にも10人程OB訪問し、三菱地所の観点からどうしたら日本に国際的金融街が出来るかを聞きまくった。
中には「金融業界受ける気あんの?」と思われて、すごく嫌な顔もされた。
それでも、地所がらみの質問をし続けた。
自分が求める情報に対しては妥協したくなかった。
そして、三菱地所が金融街を目指す上で、どうするべきなのかについて、僕の考えを説明出来るようにした。

訪れる幸運

3月の中旬、ESを出し終わり、キャリアセンターで調べ物をしていた。
そしたら、隣に今期授業で知り合った同学年の子が座っていた。
しばら就活について話しあい、僕は三菱地所を志望していることを伝えた。

そうすると、彼女の口から、

「私の父親は三菱地所で結構偉いよ」

という言葉が出てきた。
僕は驚愕した。

「会いたい!会いたい!!会いたい!!!」

猛烈に会いたいと頼み始める僕に彼女は戸惑っていた。

「んー。他の友だちにも頼まれるけど、父親は断るんだよねー」

そこでも、僕は食い下がらず、情報を引き出そうと彼女の父親の経歴を聞いた。
そうすると、彼女の父親は三菱地所に中途で入社していて、なんとその転職する前は僕の父親と同じ会社だった。

「ひょえーー!びっくりだねーー!!でも、OB訪問はしてくれないからなー」

またとないチャンスに気持ちが高揚していた。

というのも、OB訪問だとどうしても30代までにしか話を聞けず、最終面接で相対することになる50-60代の人のお話を聞けることはなかった。

すぐに父親にメールを送った。
「〇〇(女の子の名字)さんって知ってる?」
「あー知ってるよ。すごい昔だけど、2年くらい俺の部下だったよ」
なんとその子の父親は、自分の父親の元部下だった。

そして、その女の子もどうやら父親に僕の話をしたらしく、「息子さんみてみたいから、会ってやっても良いよ」って言っくれたらしい。

正直これは幸運でしかないと思った。
そして、まるで自分は三菱地所に受かるためにこのようなチャンスが舞い込んできているのではないかと錯覚するほどであった。

そして、後日その女の子の父親と会えることになった。

結果からいうと、僕の考えていた志望動機はかなり突っ込まれて、ボロボロにされた。
「不動産の事をちゃんと分かっていない」とまで言われた。
そこまで毎日毎日準備をしてきただけにめちゃくちゃ悔しかった。

でも若手の人からでは貰えないフィードバックを得れたことで、志望動機や自己PRはより洗練され、最終面接官に近い年代の方の視点を感じれたことは大きな収穫だった。

いよいよ本番 

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無事にES合格の通知もきて、本選考に近づいていく。
ここまでやったら受かるはずだという自信と、大丈夫かなという不安が入り交じる複雑な気持ちに囚われる毎日だった。
「今出来る事を一生懸命やろう。未来の事を考えても不安になるだけだ。」
と、毎日思ってもやっぱり気になってしまう。
心を制御するのが大変だった。

そして、なにより一つの不安があった。
知れば知るほど不動産業は自分のやりたいことではないことがわかった。
やはり自分の感覚的にはメーカーが向いている。

これは本当に自分がやりたいことなのか?自分に合っているのか?
分からなかった。
ただ、産業集積地帯に関してとてつもない興味を抱いてるし、それに関わりたい。

それは、三菱地所でしか実現できないのだ。
そう覚悟して腹をくくった。

そしてついに、本選考が始まった。
まず、最初にくる関門はグループディスカッション。
ここで落ちてしまえば、OB訪問で集めた情報、何度も推敲してきたES、面接内容全てがパーとなってしまう。

面接解禁初日の朝一のグループ。
9時10分。
もちろんそれは、三菱地所を第一志望とする優秀な学生が集まる事を意味する。
待合室はとても狭く、既に50人程が、肩をくっつけて座っている。
もうほぼ満員だ。
待合室では誰もが、一言も話さない、異様な雰囲気だった。
重苦しくてトイレに逃げたくなった。
ただ、やる事は決まっている。
大丈夫。
全てをこの企業につぎ込んだ。
俺は受かる。
時計を見ると、長い棒が2を指していた。
社員が意気揚々と乗り込んできた。
グループディスカッションの始まりだ。

周りが悪魔に見えてくる


三菱地所のグループディスカッションはレベルが高く、優秀な学生が積極的に切れ味ある意見を発して、様々な視点や概念が目まぐるしく交差しあっていた。
一進一退の攻防戦が続き、一瞬も気を抜く余裕がない。
言葉を発する度に、額に汗がジワジワと浮き上がってくる。
このままだったらいけるか?何とも言えない。
そう思った時、隣の女の子がぶるぶると震えていて、涙目になっているのが目に入った。
でもそれは僕も同じことだった。
心を鬼にして周りとの調和を大事にしながら精一杯自分がよく見えるようにアピールしていった。

グループディスカッション合格の通知はその日の夜に来た。
「よかった。」
これでとりあえず、5ヶ月間の必死にやってきたことをぶつけることができる。
二日後の午後に面接を入れた。

そして、第一次面接。
二回目の選考ということもあり、前回と比べて少し落ち着いていた。
今までこなした20件OB訪問でも毎回模擬面接はしてもらっていたが、改めて本番となると違う緊張感がある。

控室に長身でちょっと色黒の社員が現れ、名前の名前が呼ばれた。
一対一の若手社員との面接。
軽い自己紹介をしたあとの第一問だった。

面接官「まず、弊社を志望する理由はなんでですか?」

 

「はい、私のやりたいことは御社でしかできないからです」

待ち受ける激ムズ面接

面接は軽快に進んでいった。

頑張ったこと、自己PR、志望理由、全てに対して面接官は好感を持って反応してくれた。
時折ちょっと捻った回答に面接官が笑ってくれた。
完璧だった。
今までの努力が報われたと思った。

その日の午後、ケータイが鳴なった。
「三菱地所の〇〇です。」

よし!!受かった!
「次の面接に進んでもらいたいのですが、明日の17時は大丈夫ですか?」
あ、まじか・・・他の企業の面接が入ってる・・・
三菱地所を第一志望とする僕は何よりも高い優先事項だった。

「大丈夫です!よろしくお願いします。」
僕は、その時間に書かれていた企業に横線を2本入れた。

第二次面接。
待合室に向かうと、4個の丸いテーブルに7〜8人座って待っていた。
「こんばんは」と軽く言いながら、男子学生の向かい側に座ると、ギロリと睨まれた。
無視かよ。
ネットの情報だと去年は二次面接は個人面接と書いてあったため、待合室で4人の名前が呼ばれたことに驚いた。
グループ面接なのか。
面接官が自分が座っていたテーブルを会場へと呼んできた。
待合室で睨んできた男は社員に名前を呼ばれた時からすごい笑顔をみせている。
面接官の前での態度の豹変ぶりに内心、笑ってしまった。
面接官は新卒採用担当の人だった。
今まで説明会などでずっと話を聞いていた人に、今度は自分が話をすることに多少の違和感を感じた。
そしてこの時初めて他の就活生の志望理由を聞いた。
正直、「そんな程度か」と思った。
周りの志望理由を聞いて、改めてどれだけ自分の志望理由が三菱地所に特化しているかが分かった。
なんだこれ、これなら余裕だ。
負ける気がしない。


しかし、そう簡単にいかないのが就活だ。

面接官「あなたが就活中、成長したことはなんですか?」

あー、わからない。考える時間が欲しい。最後に聞いてくれ。

面接官「では、まず・・・」

頼む。最後にしてくれ。違う人から始まれ!

面接官「ドラゴン晋作さん!」

あああああああ!よりによって最初かよ!わからない!!!

「私は、就職活動を通して、、、、」

日本の企業は改めてすごいなーって感じました!

とか意味分からんことしか思い付かない。

 

あー!!

 

あかん!!わからん!!!やばい!!!!

 

 

あーーーーーーーーーーーーー!!!!!

 

 

「より多角的に物事を見る視点を身につけられたと思います。」

 

 

咄嗟に出た答えだった。

あくまでも顔はクールに保ちつつ、頭をフル回転させて理由を考える。

「スーパーに行ったとき、今まではなんとなく製品を取るだけでした。ただ、就職活動を通して多くの産業、企業、そして企業の役割を知ったとき、一つの製品が出来るまでにどれだけ多くの企業が絡んでいるかが分かりました。例えば....(略)。物事の背景にだれがどのように関わっているかを考える視点が成長したと思います。」


面接官「なるほど、ありがとうございます。」


あ、危なかった。

他の就活生も同様に答えていく。

質問は一周して僕に戻った。


面接官「先ほど、多角的な視点とおっしゃっていましたが、三菱地所を志望したなかで、なにか気付いたことはありますか?」

 

ボーナスクエッションかと思った。

実は、つい1週間前に丸の内のことを研究している友人を見つけて、三菱地所が丸の内を金融街にしていく上で公表していない困難な側面を聞いたところだった。

教えてもらったことをそのまま言うと、面接官の表情が険しくなった。


面接官「それは誰から聞いたのですか...?」


え、まずいことを言ったのか。

思わず固唾を飲んだ。


「丸の内のことを研究している友人がいたので、その子に、土下座して教えてもらいました。」


面接官「なるほど、ありがとうございます。」


面接官が笑ってくれたので安心した。

よく知ってたなと思っていたように見えた。
やはり就活は企業研究が肝だ。
相手を知れば知るほど合格率が上がる。 

その情報を教えてくれた友達にまじで感謝した。

ことごとくついている。

ラッキーなことが次から次へと起こる状況にまるで天が味方についてるのではと思った。

もうこれで受からなかったら縁がなかったってことだ。

その日の夜。中々電話が来なかった。

 

鳴らない。

 

半ば諦めて風呂にでも入ろうとすると、

ガタガタガタッ

机の上に置いておいたケータイが鳴り始めた。

「はい、ドラゴン晋作です。」

面接官「三菱地所の◯◯です。

今日の面接官だった。

いよっしゃああああ!!左手で拳を突き上げる。

面接官「今日はどうでした?

私「緊張しましたが、やりきりました!!」

面接官「そうなんですか。すごくリラックスされていて、良かったですよ。つきましては、次の面接に進んで頂きたいんですが、明日の午後19時でも大丈夫ですか?」

私「はい!!よろしくお願いします!!!」

面接官「何か聞きたいことはありますか?」

私「聞きたいことではないんですけど、今まで説明会などでお話を伺っていて、〇〇の話とかすごいウィットに富んでいて、面白いなと思っていたので、こうやってお話し出来て、いや、もう、ほんとうに、すっごく嬉しいです!」

面接官「よくそんなこと覚えてますね笑 ドラゴン晋作くんとは是非来年一緒に働きたいと思ってます。頑張ってください!」

「なら内定をください。」

もちろん、そんなことを言えなかったが、「来年一緒に働きたい」この言葉はとても嬉しかった。お世辞だとしても、多少は、新卒担当の人に認めてもらっている。俺もいけるんじゃないかと自信がついた。

ただ、次の3次面接は、Mさんが一番の難関と言っていたケース面接だった。なので今まで準備してきたことが全く意味をなさない。
地頭の勝負になる。

実際その3次面接は今までの面接の中で最も手応えがないもので、初めて面接後に電話がこなかった。

じんわりと落ちたという実感が湧いてきた。

しかし、不思議とそんなに悔しい感情はなかった。

「あー、落ちちゃった」程度だった。

自分はやれる所までやった。後悔はない。

 

地頭で負けた。

それならしょうがない。自分が至らなかっただけなんだから。
そう諦めがついていた。

次の日、鳴ったケータイにでると地所からだったことに信じられなかった。

そう、僕はついに三菱地所の最終面接の切符を手に入れていた。

ついに、最終面接に臨む

直ぐにMさんにメールを書いた。

 

「お陰さまで次ぎ最終面接です。頑張ってきます」

 

「お〜〜〜すごいじゃん!!
最終面接はもう本当に運だからリラックスして自然体で臨みな!ファイト〜〜!」

  

自分の心臓がドクンドクンと全身に血を送っているのが分かった。

受かる、受かる、受かる!

やっぱり俺は受かる運命なんだ

じゃないとこんな幸運続かないでしょ。

決して揺るぐことない自信もあった。

地所志望の誰よりも地所の準備をしていた自負があった。

ほとんどの人は三井不動産か三菱地所。

でも、雰囲気が地所に合うから地所、体育会系っぽいから三井不

程度な感じじゃん。

俺は何が何でも三菱地所。三井不じゃ志望動機が言えないんだ。

意気込みが違う。

ちなみに、僕はいつしか周りからすごいと言われることに快感を覚えていた。

地所の面接を通っていくごとに友人達は賞賛の声を惜しまなかった。

内定取ったらヒーロー扱い?

くーたまんねー!とか考えながら、面接に向かった。

そして、最終面接。

思ったよりもあっさりと終わった。

笑いも取ることが出来たし、志望動機もしっかりと言うことができた。

頑張ったこと、自己PR、予想外な質問、全て平均以上の出来だった。

しかし、面接官は常にポーカーフェイスだったんで、どう受け止めていたかわからなかった。

それでも、3次面接より手応えはあった。

 

「なんとかなったんじゃ・・・?」

 

淡い期待を抱いた。

合格は2日後の13日までに通知と言われた。

そう信じた。

待つことしかできないもどかしさ

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13日まであと2日。

何も手がつかなかった。

ケータイが震えるのをじっと待っていた。

時間が刻々と進む。

なんで来ないんだろう。早く電話かけろよ。

待つことしか出来ない現状にもどかしさを覚えた。

そして、

13日23時50分

ついにこの時間まで電話は来ていない。

「あーこないぞ。あと10分だぞ?」

もう落ちたじゃん。と思いながらも、まだ時間になっていないという希望が交錯する。

1秒。また1秒と時が積み重なっていく。

頼む。12時にならないでくれ・・・

12時になった瞬間をしかと見届けたのかは定かではない。

その瞬間を避けるかのように、気付いたら僕は眠りについていたのだ。


部屋に差し込む朝日が眩しくて僕は起き上がった。

そして、自分が昨日そのまま眠りについたことが分かった。

ケータイを見た。

着信の通知は1個もなかった。

「あ、俺落ちたんだ。」

「ん?え?俺落ちたの?」

「うん。落ちてる。これ、落ちてるわ。」

信じられなかった。

段々と自分が落ちた現実を実感し始めた。

その瞬間、悲しみは怒りへと変わった。

「鳴れよ!!鳴ってくれよ!!!鳴れつってんだろ!!くそがっ!!」

ケータイをソファに叩き付けた。

「ふざけんなよ!」

部屋がぐわんと傾いたかのように、僕は立っていられなかった。

「頼むよ…なんでだよ…なんで鳴んないんだよ...」

体の奥底から沸き上がってくる力を

一体、どこに向ければ良いのかわからない。

足を思いっきり空に蹴り上げる。

何をやっても頭の中がスッキリしない。

僕の頭に浮かんだのはMさんだった。

「すみません…すみません…」

気付いたら、怒りは謝罪に変わっていて、僕は泣きながら謝った。

あんなに教えてもらったのに、僕は内定という結果を出すことが出来なかった。

「くっそ….うううう……ああああああああああ、、あ、、ああ」

怒り、悲しみ、申し訳なさ、全てが混同して、まるで川が氾濫しているかのように感情が一斉に溢れ出す。

しばらく泣き続けた。

泣くのは最高のストレス解消法というのは本当だ。

全ての感情が流れ去り、スッキリするまで、涙を流したあと、

なんとか自分に言い聞かせた。

「ま、いっかー!死ぬわけじゃないし。他の所から内定も頂いたんだし!」

とりあえず、今を楽しもう。今に目を向けよう。

就活のプレッシャーを感じない久しぶりの休日を楽しもうと思った。

その日の終わりのお風呂で、思わずこの4ヶ月間を思い出してしまった。

ESを書きつづけた毎日。

若手社員と交流するたびに、三菱地所に憧れ気分が高揚していたこと。

Mさんの刺激的な話。

面接が通るたびにはしゃいでいたこと。

人事の方の「来年一緒に働きたい」という言葉。

気付いたらまた涙がこぼれていた。

素直に、三菱地所の内定者を見つけて問いただしたかった。

何人にOB訪問してきたの?

そんなに頭良いの?

何回ES書き直してきたの?

ねぇ?教えてよ。

僕よりも本当にふさわしいの?


メーカーの仕事が感覚的にはやりたかったことだった。
それに対して大きな嬉しさを感じていたが、
心の片隅に一片の悔しさを抱えていた。

ひたすら、自己肯定していた。
こっちのほうが良かった。
こっちの道で行けた方がよかったじゃん。

「実際の不動産業の話を聞いても、地主の接待とか大変そうだよ?」

「メーカーの方が僕のやりたいことじゃないの?」

「ただでさえ、あんたが三菱地所で産業集積地帯づくりに携わる人は少ないんだから、それが出来るとは限らなかったよ?」

分かってる。

分かってるんだ。

全部その通りだよ。

ただ、やっぱり僕は今まで頑張ってきた就職活動を内定という結果で表したかった。

最終面接まで行ったんじゃなくて、内定取れたっていう形が欲しかったんだ。

いっぱい手助けてくれて、頑張れって言ってくれた友達。色々な面で支えてくれた両親。そして、何より指導してくれたMさん。

今まで助けてくれた人のためにも。協力してくれた人のためにも。そして自分のためにも。

「お陰さまで内定取れたよ!ありがとう!」

って一言をどうしても、心の奥底から言いたかったんだ。

だけど、あと一歩のところで、「内定とれた!ありがとう!」とこの一文を言えなかった。

あと一歩、あと一歩だったのになー

僕にはこの一歩がどのくらいなのかが分からなかった。

就職浪人して、もう一回やってみようかな。

僕の気持ちは揺らいでいた。

僕の可能性

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数日後、テレビを見ていたらベンチャー企業の社長をしている孫さんの弟が出ていて、高らかに宣言していた。

「日本にシリコンバレーに匹敵する程の産業集積地帯を作る」

ふと、笑ってしまった。

「え、ベンチャー企業でも作れんの?」

「産業集積地帯作りに携われるのは、御社だけだからです。」

これを武器に僕は三菱地所と戦った。

シリコンバレーの発端はある一人の男が広大な敷地を有効活用したことが発端だ。

民間企業だと、東京に莫大な土地を保持している三菱地所ならそれが出来る。

そう思ってた。

ただ、今テレビの前で孫泰蔵はベンチャー企業なのに、作ろうとしていた。

なーんだ。地所じゃなくても作れるんだ。

本気でそれに関わりたいと思うなら、別に地所行く必要もないじゃん。

一気に気分が軽くなった。

そして思った。

結果をただ拒むのではなく、全てを受け止める。

自分がやった努力もしっかりと受け止める。

そして、結果がでなかった事実も受け止める。

結果が出なかったから、お礼を言えないと思ったけど、

結果が出たから周りの人に感謝するんじゃなくて、

やってもらったことは感謝するべきだ。

結果を出した自分を褒めるのは重要だが、

毎日自分がやってきたことを褒めるのも同じくらい重要だ。

毎日一生懸命やった事実は変わらない。

幸運の掴み方

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僕は就職活動の頑張りを第1志望の内定という形で表す事は出来なかった。

ただ、これをどのような形で表すかはこれからの自分次第だし、一つ大切な事を学び取る事が出来た。

「チャンスは準備している者にしか訪れない」

という言葉がある。

 

その通りだと思った。

ちゃんと準備していれば、どんどんと運が舞い込んでくることがある。

それを運命と勘違いしてしまう程に。

ただ、僕はこの言葉にひとこと付け加えたい。

良い準備は運を呼び込む。だけど、それで驕るな。

最終面接の前、受かった気で浮かれてるようじゃ駄目だった。

波に乗ってるときこそ身を引き締めてしっかりと目の前を見るべきだった。

もし、あそこでしっかり目の前のことに一生懸命だったら、

違う結果になっていたのだろうか。
それは分からないけど、最善の努力をしたなら結果を受け止め、自分が進む方向でまたベストを尽くす。
人生はこの繰り返しだとその時に深く思った。

ーーー

ここまで長文を読んでいただき、本当にありがとうございます。
僕は今もこの経験がバックボーンとして価値観に影響を受けています。
どんな時でも、自分を客観視して、目標へ目指す。
その大切さを学びました。

改めて長文読んでいただき、ありがとうございました。

 

三菱地所へのES内容を知りたい方は、『その全て』を下記Noteで解説しております。
誰でもこれを実践すれば強力なロジックを作ることができて、選考突破できますので、よろしかったら読んでみてください。
述べ100人の就活生にインタビューし、1ヶ月かけて再現性の高い方法論をまとめました。
※個人情報を多分に含むので、780円と有料となっております。

 

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